2013年07月07日

「D-Wave社の量子コンピュータは「本物」〜米研究者グループが「量子効果を確認」とネイチャーに発表」 D-Wave 1 が 128量子ビット,D-Wave Two が 512量子ビット(8x8x8).

Web拍手:


「D-Wave社の量子コンピュータは「本物」〜米研究者グループが「量子効果を確認」とネイチャーに発表」
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130701_605845.html


今回、28日に南カリフォルニア大学のSergio Boixo氏とTameem Albash氏、Daniel A. Lidar氏らの研究チームがNature Communicationsに発表した論文「Experimental signature of programmable quantum annealing」の中で、D-Waveのコンピュータが古典力学に従うコンピューティングモデルではなく、量子力学的効果を使用していることが確認できたと主張している。

 Lidar氏は「8量子ビットを含む具体的なテスト問題を使用して、我々はD-Waveプロセッサは、量子アニーリングとは一致するが、古典的アニーリングの予測とは矛盾する手順で最適化計算を実行することを確認した」と説明した。また論文第一筆者のBoixo氏は「私たちの仕事は、純粋に物理的な観点から見たときに、量子効果がD-Waveプロセッサでの情報処理において、ある機能を持つ役割を果たしていることを示しているようだ」と説明している。

 「量子アニーリング」とは、量子力学的効果を使用して最適化問題、特に組み合わせ最適化問題と呼ばれる種類の問題を、これまでのコンピュータよりもはるかに高速に解ける汎用アルゴリズムを提供する。

 この種のコンピュータは一般的な意味での汎用量子コンピュータとは異なるが、量子効果を使用しなければ実現できないことから、本物の量子コンピュータの一種として認められている。




しかしそれでも、D-Waveが主張するほど大規模な回路で実現できるかどうか、疑問の声が上がっていた。そのためこれまでは、量子効果を古典力学的にシミュレートすることで何らかの高速化を実現しているのではないかという疑いを持たれていたという経緯がある。

 今回の論文が他の物理学者達によって追認され、正しいことが確認されれば、D-Waveは世界で初めて本物の量子コンピュータを開発、販売したことになる。

 GoogleはD-WaveをNASAと共同購入し、機械学習などに使用することを明らかにしていた。

 一般に組み合わせ最適化問題で解ける問題の種類としては、カーナビのルート検索、学校やプロスポーツ界の時間割や対戦計画の作成、生産能力の違う工場の生産割り当て計画の作成、運送会社や大企業の配送ルートや計画の作成などがあり、計算速度は遅いためかなりの工夫が必要とは言え、実社会の現実問題で既に不可欠となっている。





「史上初の商業用量子コンピューター D-Wave - NPO法人 知的人材ネットワーク・あいんしゅたいん」
http://jein.jp/jifs/scientific-topics/799-topic44.html


断熱モデルを採用したことが長年の論争の始まりである。というのは量子コンピューター学界の主流は別の手法、ゲートモデルというものを採用しているからである。学界のお偉方は実際に役に立つ量子コンピューターの完成にはまだ数十年を要すると言ってきたのである。だからD-Wave社が、商用の「量子コンピューター」を売り出したと言っても、信じるわけにはいかないのだ。だから学界の主流はD-Wave社の量子コンピューターを認めないのである。(6/24 追加 D-Wave社がゲートモデルを捨てた理由は、ノイズの問題をクリアできないと判断したからである。しかし断熱モデルでは、これをクリアできていることは、実際に製品が出来ていることから明らかだ。0.02Kの低温度の達成と、磁場のシールドの技術がD-Waveのウリである。)



D-Wave社とローズが反発される別の理由は、多分ローズが権威を認めない生意気な若造であるからであろう。さらにもう一つの理由はD-Wave社の秘密主義にある。彼らは最近まで研究成果の論文を公開してこなかった。これはアカデミックな世界では認められないことだ。しかしアカデミックな研究機関ではなく、企業なのだからある程度の秘密主義は当然である。もっとも最近になって、研究者たちの論文がぼつぼつ公開されるようになった。例えば次の論文では、 D-Wave社の量子コンピューターの速度を検証している。その結果、特定の問題では普通のコンピューターの3600倍から1万倍の速さであることを実証した。


「Experimental Evaluation of an Adiabiatic Quantum System for Combinatorial Optimization
Catherine C. McGeoch
Cong Wang」
http://graphics8.nytimes.com/packages/pdf/business/quantum-study.pdf





D-Waveが真の量子コンピューターかどうかという宗教論争よりは、それが実際に役に立つかどうかが重要だと思う。




現在、世界で稼働しているD-Wave量子コンピュータは南カリフォルニア大学のものだけで、秋にはGoogleのものも稼働を始める。この計算時間の一部は研究者に公開されるので、応募して認められれば使用することが出来る。するとここ数年のうちに、さまざまな新しいアルゴリズムが開発されるであろう。米国やその他の国の研究機関でD-Waveを導入するところが現れるかもしれない。するとさらにアルゴリズム研究は進むであろう。研究費獲得の面でも有利になると思われる。一方、「真の量子コンピュータ」への予算配分は少なくなる可能性もある。




D-Wave量子コンピュータができることはたった一つ、2次元イジング模型のエネルギー最小状態を求めることである。2次元イジング模型とは、碁盤の目のように並んだスピンが、自身の東西南北の隣のスピンとのみ相互作用するとするものである。式で書くとJij, hiを重み係数、変数をS={s1, s2,..,sn}とする。ここでsiは-1か+1のみの値を取る。そのときエネルギー

M(S)=Σi<jJijsisj+Σihisi

を最小にするようなSを求める。D-Waveにおけるプログラミングとは問題に応じて、Jij, hiを決めることである。



コスト最小化問題に変形すればいいので,いろいろな問題が解けるようになる気がする.


D-Wave 1 が 128量子ビット
D-Wave Two が 512量子ビット(8x8x8)



【コンピュータの最新記事】
posted by NOIKE at 21:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | コンピュータ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

「米 Google、量子コンピュータ開発プロジェクトを開始」
Excerpt: 「米 Google、量子コンピュータ開発プロジェクトを開始 - インターネットコム」 http://internetcom.jp/webtech/20140904/google-quantum-com..
Weblog: とり茶
Tracked: 2014-09-05 16:42
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。